村上昭夫(S2.1.5)動物哀歌
村上昭夫(S2.1.5)動物哀歌
一番星
(一番星はどんな星)
一番星は空の悲哀の子だ
後からどんなに沢山の星が出てきても
一番星は慰められない空の孤独の子だ
一番星は空のかたくな子だ
後からどんなに愛の言葉を投げかけても
一番星は救われない空のかたくなの子だ
――――
(一番星はどんな星)
一番星は空の悲哀の子だ
後からどんなに沢山の星が出てきても
一番星は慰められない空の孤独の子だ
一番星は空のかたくな子だ
後からどんなに愛の言葉を投げかけても
一番星は救われない空のかたくなの子だ
――――
雁の声
雁の声を聞いた
雁の渡ってゆく声は
あの涯のない宇宙の涯の深さと
おんなじだ
雁の声を聞いた
雁の渡ってゆく声は
あの涯のない宇宙の涯の深さと
おんなじだ
私は治らない病気を持っているから
それで
雁の声が聞こえるのだ
それで
雁の声が聞こえるのだ
治らない人の病いは
あの涯のない宇宙の涯の深さと
おんなじだ
あの涯のない宇宙の涯の深さと
おんなじだ
雁の渡ってゆく姿を
私なら見れると思う
雁のゆきつく先のところを
私なら知れると思う
雁をそこまで行って抱けるのは
私よりほかないのだと思う
私なら見れると思う
雁のゆきつく先のところを
私なら知れると思う
雁をそこまで行って抱けるのは
私よりほかないのだと思う
雁の声を聞いたのだ
雁の一心に渡ってゆくあの声を
私は聞いたのだ
雁の一心に渡ってゆくあの声を
私は聞いたのだ
最期の日記のページには「村上昭夫頑張った」のかすれた文字が読み取れたと、弟さんの記に接し私は泣いていた。住み着いた野良犬の世話をし、そのクロが生きることのすべてを教えてくれたと、鳥に、虫に、生き物に降り立ち、生と死を共感し、死途についた村上昭夫、死というものを、死の瞬間まで見つめ続けた、四十一才の生涯。
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